しょうゆご飯

夕方近くになんとなく小腹が減ったので何か食べようかと


食卓の上には冷めたご飯だけがある
冷蔵庫に色々と入ってはいるが、なんか面倒くさい

で、ふと目に入ったのがキッコーマン醤油（減塩）
これでいいや


茶碗によそった冷えご飯に一たらし
工夫も手間も有ったモンじゃ無い
単なるしょうゆ味のご飯
でも好きなんですよ、コレ

いや・・、貧乏くさいとか言わんで下さい
言うなれば、そう、想い出の味ってヤツなんです・・・
　
　
　
　
　
　
　
　
　
もう随分昔の話になる
僅かな間ではあったが、かなりキツイ食生活を強いられた事がある
　
　
有るのはただ米と水

何かを買う事も出来ない

何処かから採ってくる事も出来ない

外食なんか望む事も出来ない
　
　
貧乏だった訳じゃない
何も手に入れられなかった
ただそれだけの事


　
　

朝、昼、晩
三食とも塩味の効いた白米だけ

　
　
　
さして長い間だった訳では無い
しかし、うんざりするには充分な期間
ただ塩ご飯のみを食べ続けた
　
　
　
　
そして、明日になれば真っ当なものが食べられる
そんな最後の日の晩

手元に残しておいた小さな醤油のパック
それを炊きたてのご飯にかけてかっ込む
　
　
　
　
豪華さなんて欠片も無い


むしろ悲しいくらい貧しい食事


それでもいつもと違う味
　
　
　
　
それが、何よりもご馳走に想えた
　
　
　
　
　
　
　
　
　
今を去る事十数年前
世が平成になって間もない頃
さかちが無人島で暮らしていた時の話である